" /> 3 腰痛 | 雑記ブログ

3 腰痛

 運動というのは偉大だ。適度な運動は身体を健康にする。人間も動物だから、身体を動かすことこそが生命体のあるべき姿なのだろう。だが実際にそうできるかというと、必ずしもそうではない。座っていることのなんと多いことか。勉強の時はもちろん座っているし、その疲れをいやすために息抜きでやるのは動画の視聴。結局動かない。

「というわけで、腰が痛いわけなんだけど」

「運動不足すぎだろ」

「若さって、実年齢だけじゃないんだねー」

 いつものベンチでぼやいた言葉に、友人たちの容赦ない言葉が刺さる。

「部活とか、サークルとか、運動やってみればいいんじゃない?」

 自前の弁当を食べながらそういうのは、自分にとっては珍しい女性の友人。地方から出てきたという彼女は、快活で健康的な雰囲気を出している。自然とともに育ちました、というような雰囲気だ。

「部活はガチな奴が多いだろ。サークルぐらいがいいんじゃないか?」

 そう言うのはもう一人の友人。黒髪短髪の彼は、昔から運動やってましたという体形をしている。購買で買ったパンを食べているが、それじゃ栄養が足りなさそうな、きちんとした筋肉を持っている。

 どちらも太陽の光を浴びて生きてきました、という感じだ。

「どっちも無理だ。生まれてこの方運動とは無縁で生きてきたんだ。体育の時間が最も苦痛だった人間なんだからさ。だてにひょろ眼鏡とかカイワレ君とか呼ばれてない」

「カイワレ……もやしですらないんだね」

「哀れな奴」

「ほっとけ。そもそも俺には運動なんてやる時間はない。空いた時間ができたなら、ゲームがやりたい。……だからこんなものを探してみた」

 取り出したスマホに映したのは、『イス軸』についての動画だ。

【YouTube版】イス軸法の教科書(正しいフォームを紹介)

「イスに座ってお辞儀して、脱力脱力。そのままゆっくりと体を起こしながら立ち上がるだけ。所要時間は10秒。これで正しい姿勢になるんだと。これをやるとなんか骨で立ってるって感じになって、腰の負担が減るんだ」

「まじか? 怪しすぎないか」

「お金取られてない?」

「とられてない! それに結構有名になっているらしいぞ。正しくやるにはインストラクターとかもいるらしいけど、まあ俺はそこまで求めてないから」

 そういいながら、ベンチを使ってイス軸をして見せる。

「な、簡単だろ。これをやると力が抜けて、でもしっかり立っているって感じになるんだよ。すぐに崩れちゃうから、今は頻繁にやっているけど、そのうち感覚が身体になじむらしい」

「……そうか。でもなあ、見た目、けっこう怪しいぞ」

「……うん。人前では、あまりやらない方がいいんじゃないかなあ」

 おい。じゃっかん引いた感じでこっちを見ないでください。

「ほんとにいいんだってば」

「わかったわかった。でもな、運動はした方がいいと思うぞ」

「そうそう。ゲームの中でどれだけ大暴れしても、実際に筋肉は増えないよ?」

 二人とも辛辣ですね。ほっといてよ……。

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