寿司が食べたい。日本人の多くは、時折そんな気持ちがわいてくるのではないだろうか。だが寿司はごちそうだ。すき焼きやてんぷらなどと並ぶ、代表的な日本のごちそうだ。そんなに簡単には食べられない。特に収入の乏しい学生の身としては。しかし寿司は寿司でも、握りずしでなかったならば、選択肢として身近なものとなる。
日本人は寿司が好きだ。最近は外国の人も寿司のうまさに目覚めていると聞く。スーパーにはパックに詰められた寿司が並び、街を歩けば回転ずしが目につき、いわゆる回らない寿司屋もそこかしこに見る。それが日本だ。
身近な食べ物。それが寿司。日本人のソウルフード。それが寿司!
「とはいえ、学生の身ではお腹いっぱいに寿司を食べるという機会ってあまりないんだよねえ」
台所に立ちながら、ひとり呟く。手には納豆が入ったをボウルをかき混ぜている。たれは入れずにしばらくまぜ、泡立つようになったら醤油を入れてさらに混ぜる。最後に刻みネギを入れて軽く混ぜ、これで一品。ワサビと合わせて食べる。
寿司を食べられない理由は簡単で、そもそもお金がない。寿司を少し食べるぐらいなら、同じ費用でもっとお腹いっぱい食べられる。女子的には野菜やフルーツも取りたいし、甘いものだって取りたい。そうするとだんだんとその優先順位は落ちていく。
高級な食べ物となった寿司は、口に入る頻度が高くないのは当然だ。
「そもそもがお祝い事とかに食べるイメージだしなあ」
2品目はツナ缶だ。これもボウルに入れて、塩と醬油を少し、あとはマヨネーズを入れて混ぜる。これでツナマヨの完了。レタスと合わせていただく。
そもそも寿司とは何か。
大昔は、なれずしというものがいわゆる寿司だった。魚を塩と米で発酵させて保存する保存食だ。あくまで保存食であり、魚を保存することが目的であり、乳酸菌で発行した米はいわゆる漬け床となり、どろどろとなる。よって食べる時も米は食べずに魚だけを食べるのが一般的だ。その保存期間は年単位で食べられる状態が保たれるという。
その発酵期間を短くし、米も食べられるようにしたのが生なれ寿司だ。その生なれ寿司がさらに進み、生の魚を酢飯の上にのせて握るという握りずしになっていったらしい。
「でも自分で作って食べるなら、お安く食べられるよね」
スライスしたニンニクと牛肉をフライパンで焼いて、最後に焼き肉のたれを絡めて仕上げる。これで3品目。
続いて酢飯を作る。
寿司のうまさはネタはもちろんだが、酢飯の力も非常に大きいと思う。お酢と砂糖と塩で作るご飯。お寿司につかういわゆるシャリってやつだ。酢の酸味が特徴で、これが寿司飯などで使われる際の独自の味わいを生み出す。
酢飯の作り方は存外簡単だ。ある程度の大きさのボウルにご飯を入れて、すし酢を入れてかき混ぜれば、あっという間にできる。すし酢はお酢、砂糖、塩で作れるし、ご飯の量次第ではうちわであおいだりする必要もない。
ちなみに今作っているのはこんな感じ。
材料
ご飯:2合
米酢:大さじ3
砂糖:大さじ2
塩:小さじ1
作り方も簡単だ。
炊きたての熱いご飯を小さなボウルにいれ、米酢、砂糖、塩で作ったすし酢をかける。続いてしゃもじでご飯切るように、ゆっくりと混ぜ合わせて、あとは冷めるのを待つだけ。
要点としては、酢は雑穀酢ではなく、米酢を使うことぐらい。とても簡単だ。
「よし。あとは……」
酢飯を覚ましている間に、最後の一品を作る。
冷蔵庫から取り出したのはネギトロだ。ちなみにネギは入っていない。マグロの骨からスプーンなどでねぎとるから、ネギトロというのだそうだ。これにネギを投入して、ネギが入ったネギトロにする。使用するのは長ネギの白い部分。薄く斜め切りしたものを混ぜ合わせるだけ。
「できた」
完成したネタや酢飯をテーブルに並べていく。あとはこれらを海苔に包んで食べるわけだ。
そう、作っていたのは手巻き寿司でした。握りずしは難しくても、手巻き寿司ならば手軽になんとかなる。海鮮はネギトロだけだが、それいがいもかなり酢飯にあうので、おいしく食べられる。
お値段お安めで作るのはお手軽、そして食べればかなりの満足感。
「おいしー! 最高ー!」
次々と手巻き寿司を作っては、口に入れる。
休日の夕食としてはとても上等な食事となった。


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