餃子は完全食だと誰かが言った。肉も野菜も炭水化物も取れて、かつ美味しい。冷凍食品のものであればかなりお手軽に作れるし、焼き物であるということが、調理のハードルを落としてもくれる。もう餃子だけ食べてればいいんじゃないか……そんなことを思っていたこともありました。
「うーん……つい弁当に入れてきてしまったけど、失敗だったかもしんない」
自らの弁当を一口食べて、ついそんな感想が口に出た。その言葉を聞いた二人の友人が、手元に弁当をのぞき込んでくる
「餃子かあ」
「お弁当に入れることは、やったことないかも」
いつものベンチでいつも通りのランチ。冷凍食品を弁当のおかずとして詰めることはこれまでもあったが、餃子を詰めてみたのは初めてだった。やってみたときはいい案だと思ったが、実際食べて見ると物足りなさがある。
ずれた眼鏡を直しながら、弁当の中の餃子を見る。冷たくなった餃子は、焼き目のカリカリも失われ、具のジューシーさも失われていた。決しておいしくないわけではない。これはこれで嫌いではないが、本来もっとポテンシャルがあるものだと思えば、少しもったいないと感じてしまう。
「焼きたてが食べたくなるよなあ」
「うまいよな、焼きたて」
おにぎりをかじりながら、短髪の黒髪の友人がうなずく。運動しているだけあって、そのおにぎりはでかかった。中身はから揚げマヨっぽい。以前もう一人の友人が作ってきていたやつだ。うまそうだ。
「餃子は焼きたてがおいしいよね。冷凍餃子もおいしいけど、手作り餃子もまたおいしいよね。実家でたまにやってたなー。家族みんなで包んで、家族みんなで食べるんだよね……」
実家を思い出したのか、しんみりと言うのはそのもう一人の友人。ショートカットの女性だ。今日のお弁当はサンドイッチらしい。卵サンドがうまそうだ。
二人の弁当と見比べてから、自分の弁当に目を落とした。味も微妙だったが、見た目も負けてる気がする。
……決して、嫌いじゃないんだ。しかし、もったいなさは消えない。外側がカリカリで、中が熱々の焼き餃子は素晴らしくうまいからだ。言うまでもなく自分が持って来た餃子は、その魅力がなくなった焼き餃子になっている。
餃子は、それ自体素晴らしい料理だ。小麦粉で作った皮で豚肉やキャベツなどを詰めて、焼いたり茹でたりして食べるもので、茹でて食べるものは水餃子と言われる。餃子発祥である中国ではもともとの水餃子が主流だったらしいが、それがいつからか焼くようになって焼き餃子が生まれたのだとか。
焼き餃子は水餃子よりも手軽に作れて、先ほども触れた魅力である外側のカリッとした食感も相まって、広く人気を集めるようになった。現在では、世界各地で親しまれる人気料理となっているのが焼き餃子だ。それは美味しさももちろんあるが、彼女が言うように大勢でわいわい作ってパーティもできるし、量を作って冷凍すればいつでも楽しめるし、そもそもチルドや冷凍餃子であればお手軽に食べられるのも魅力なのだろう。
そんな餃子は、日本には有名どころがけっこうある。ぱっと思いつくのは、浜松餃子と宇都宮餃子だろうか。
浜松餃子は、静岡県浜松市を中心に広く食べられている餃子の一種で、餡にキャベツを多く使用することが特徴の餃子。宇都宮餃子の方は、栃木県宇都宮市を中心に広く食べられている餃子の一種で、こっちは白菜を使う餃子。
どちらも野菜たっぷりで、スーパーでチルド餃子を買って食べたことはあるが、一度は現地で食べてみたい餃子たちだ。
あと、宮崎餃子というのもあるらしい。餡は豚肉やキャベツ、ニラ、ショウガなどで、一般的な餃子よりも小ぶり。ラードを使って焼くのも特徴なのだとか。こっちは食べたことはないが、とてもビールに合いそうな予感。
ますます、焼きたての餃子が食べたくなってきた。
「家で、もう一回やるかな。チルドならまた別の餃子だし」
「俺も食いたくなったな。冷凍なら簡単だろ」
「実家でやったみたいに、皮から作るかなあ。でも面倒だなー」
一人だけレベルの違うことを考えている友人がいるが、餃子は大体の人が好きだよな。


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