食事は楽しい。ただ身体の栄養補給をするだけであるならば、食事とはいわない。そう、美味しさや楽しさが伴わなければ、それは食事ではないのだ。心身の栄養補給、それこそが食事だ。だから食事はおいしい。だから食べ過ぎることもある。そして食べ過ぎれば、使いきれなかったエネルギーは身体に蓄えられる。それは自然の摂理というものであろう。
「はて」
体重計のメモリを目にして、首をかしげる。記憶していたよりも、ずいぶんとその数字は増えていた。風呂上りに、久しぶりに体重計に乗った結果がそれだ。
思わず眼鏡をはずして布でふき、改めてメモリを見る。当然と言ってはなんだが、数字は変わらない。
「うーん」
最近の生活を思い出す。朝食からしっかりと食べ、大学に行って勉強して3人でご飯を食べ、家に帰ってきてゲームをしたあと翌日の弁当を考えながら料理をしてまたしっかりと食べて……。
うん。昔と比べて食べる量は増えているけれど、運動量は全く増えてない。いや、高校では体育の時間があったが、それが無くなった分減っている。
大学でいつも食事を共にする二人を思い浮かべる。一人はいつも運動していそうだし、もう一人も快活といった雰囲気を持っていて、自己管理ができてないようには見えない。つまりこのままだと、自分一人だけが横幅を増やしていく可能性が高いのかもしれない。三人で食事をしている風景を思い、そしてその中ででっぷりとした自分がいることを思い浮かべ……。
「ちょっと……何とかしなきゃダメかも」
少し、切実にそう思った。
とはいえ、性格的に運動が習慣になるようなことがないことはわかっている。食べる量を減らすべきかもしれないが、最近ご飯がおいしいし、その要因である3人のランチ会をやめるということも選択肢としてはない。ではどうするか。
「そういえば、ファスティングってのがあるんだっけ」
最近耳にしたその言葉を思い出す。いわゆる断食のことだが、最近では健康法の一つとしてその存在を聞いた。断食自体は古代からさまざまな文化や宗教で行われてきたものだが、近年では健康や体重管理の観点からも注目を集めているらしい。
ファスティングのメリットとしては、代謝の向上や脂肪燃焼、デトックス効果があげられるらしい。しかし、デメリットもある。栄養不足や筋肉量の減少、体調不良リスクがそれだ。
デメリットの中にある特に筋肉量の減少は、ファスティング後のリバウンドリスクにつながる。ダイエットのためにファスティングをして、その後体重増加しては意味がない。そうならないようにするためには、ファスティング中もプロテインの摂取などを行い、そしてファスティング後の回復食といわれているものにも消化にやさしいものなど工夫がいるらしい。
つまり、ファスティングはきちんとした管理のもと、正しくやるべきものである、というものだ。一般的なプログラムとしては、準備食期間、断食期間、回復食期間に分かれるらしい。
「ダメもとで、やってみるか……」
一週間をかけて、1日間のファスティングでも、かなり効果があるらしい。最初の3日間は身体を慣らすための準備期間、ファスティング当日は固形物は食べずにスムージーやドリンクだけ、そしてファスティング翌日から3日間は回復期間。
ファスティング日は1日ながらも、デトックスの効果はあるし、人によっては数キロのダイエット効果もあるらしい。そして1日だけであれば、たぶん何とか……。
「やって、みるか……」


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