" /> 23 魚は美味しいがやはりめんどう | 雑記ブログ

23 魚は美味しいがやはりめんどう

 魚は美味しい。その種類は多く様々で、料理方法もまた様々。しかし食べたことのない魚を自ら手に取って、料理して食べるという気にはなかなかならない。イワシやアジ、鮭、サバやサンマといった見知った魚ばかりを選び、一度は食べたことがある食べ方で食べる。しかしスーパーの鮮魚コーナーにはこれまで食べたことのない魚や、見たことすらない魚がならぶこともある。

「こんなの作ってみたんだけど、味見してみる?」

「しますします」

「おありがとうございます」

 小さなタッパーを開きながらの質問に、友人二人が拝み倒さんばかりにしながら顔を寄せてきた。いつも通りのランチの時間に、いつも通りの友人二人。黒髪短髪の友人と、眼鏡の友人。自分と性別の違う友人たちは、仲良くタッパーの中を覗き込む。

「魚の唐揚げ?」

「とにかく、いただきます」

 小さなタッパーの中には魚の唐揚げが入っている。頭と内臓をもぎって唐揚げにしたものだが、イワシではない。二人が口に入れるのを見ながら、自分もひとつ、箸でつまんで食べる。

 口の中に白身魚の淡白で、しかし深いうまみが広がる。これは脂のうまみだ。ほろほろと口の中で崩れる魚の身も心地よく、余韻を残して口の中から消えていく。

「うまぁ」

「初めて食べた。おいしいね」

 二人の反応も上々。どうやら成功のようだ。

「そっか、よかった。ちょっと挑戦だったんだよね。わたしも食べたことのない魚だったから」

「何これ?」

「メヒカリって魚なんだよ」

 メヒカリは、大きさ約10~20cmぐらいの小型の魚だ。名前の通り大きな目が特徴の深海魚で、白身で、脂がのっており、非常に美味しいとされている。特に東北地方や関東地方で人気があるらしい。全部インターネットで調べた。

「実家では食べたことがなかったんだけど、スーパーで見かけて、スマホで調べて、ちょっと買ってみたんだ」

 調べたときに深海魚と出て、その見た目から納得しつつも少し及び腰になり、そういえばアンコウやキンメダイ、銀ダラだって深海魚だということを思い出し、結局は購入。

 大きさは小さなイワシぐらいだし、まあ何とか調理できるだろうという判断だったが、これなら何度でもリピートできる味だ。

「また見かけたら買ってみよっと。から揚げ以外にも塩焼きとか、干物とかにしてもおいしいんだって」

「これなら、確かにどんな食べ方でもうまそう」

「でもすごいね」

 眼鏡の友人が感心したようにうなずく。

「食べたことのないものとかさ、特に魚とか肉とか、俺はちょっと避けちゃうなあ」

「あー、確かに。俺もそうだな。よくやったなあ」

 もう一人の友人もうなずく。……少しこそばゆい。

「ありがと。まあ一応、安くて目に入ったっていうきっかけはあったんだけど、食べたことがないから買ってみた、というのもあるかなあ」

 経験したことがないものについて、それが安全に経験できる状況があれば、経験しておいた方がよい。そうすることで自分の世界は縦にも横にも広がっていく。

 何かを考えたり、行動したりというのは、自分の中から出てくるものだ。だが、自分の中に何もないのに、新しく作られて自ら出てくるものは少ない。外からの刺激、環境によって得たものが、別の形となって出てくる方がずっと多い。

「何事も経験、ていうでしょ?」

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