ポーカー。それは昔から行われてきたギャンブルの一つというイメージ。もちろんそれは間違っていないだろう。しかしそれだけもないみたいだ。世界にはポーカーの大会が多く行われており、その賞金がが10億円を超えるようなものもあるし、プロフェッショナルとしてその世界で生きている人もいる。 日本でもメジャーにこそなっていないが、だんだんとポーカー熱というものは高まっているらしい。
「出汁の入れ忘れかー。あるあるかもねえ」
「……実は俺もやった。その時は後追いで顆粒だし入れた」
「白だしでもいいと思う。あと鰹節のパック、あの中身を電子レンジでチンして、細かく砕いたものを入れてもいいかな。結構便利」
友人の失敗味噌汁の話にコメントしながら、お手製のサンドイッチを頬張る。いつもはおにぎりを作ったり、のり弁にしたりとご飯を弁当箱に詰めることが多いが、今日は食パンが余ったので、サンドイッチだ。
「めずらしいなあ。パンか」
「いつも和食なイメージだったけど」
「そういう二人もサンドイッチじゃないの」
失敗味噌汁のスポーツ青年は購買で買ったサンドイッチ。卵とツナの模様。眼鏡のゲーム青年は自分で作ったサンドイッチだろう。ラップで包んでいるそれには、目玉焼きが挟まっている。あと耳が付いたままだ。このあたりは好みだろうが、自分は耳がないやつの方が好きだ。
ちなみに自分が作ったサンドイッチは卵とハムだ。もちろん耳は切り落としてある。あとでラスクにして食べる予定だ。……ちょっと楽しみ。
「たまたま購買で手に取ったのがこれだったんだよな。今日は争奪がひどかった」
「俺は食パンが余ったから。食パンに乗せるものは目玉焼きが定番だと思ったので乗せて、もう一枚で挟んで二つに切った。あとは女の子と空を飛ぶ島を探しにでかけるだけだ」
「おいおい、リンゴと飴玉を忘れてるぜ」
●ピュタですね。わかります。
「それにしても、全員サンドイッチかあ。あとはポーカーでもやれば雰囲気出るね」
「ん? なにが?」
卵サンドとツナサンドを二口ずつで完食した友人が、首をかしげる。足りなさそうね。
「サンドイッチ伯爵、だっけ。ポーカーが好きすぎて、片手で食べるものを作らせたのがサンドイッチの始まりだとか」
「正確にはトランプ遊び、だね。ポーカーじゃなかったっぽいよ。でもイメージはポーカーだよなあ」
眼鏡の友人がサンドイッチをかじりながらそういった。はさんだサンドイッチから、わざわざ目玉焼きだけ口で抜き出して食べる必要はないと思う。
「ポーカーはね、最近見た映画に出てきて、ちょっと調べたりしたんだよね」
先日見た映画は、有名なスパイ映画シリーズの一つ。007/カジノ・ロワイヤルだ。その映画の中で、ポーカーで勝負する場面があった。
ポーカーはなんとなく知っていたが、そこで見たものは知らないルールのポーカーだった。自分が知っていたのは、トランプ5枚が配られ、一度不要なカードを交換して役を作り、そして勝負をするもの。
映画では、個人用にカードが2枚配られ、カード5枚が共通カードとして場に置かれ、計7枚のカードから、5枚を使って役を作るゲームだった。
テキサスホールデム、というらしい。ちなみに自分が知っていたやつは、ドローポーカーというようだ。
テキサスホールデムのルールについては、簡単に見ただけでは理解するのが難しかった。わかったことは最初に2枚のカードが配られて、ゲームに参加する場合はそこでチップを払う。場合によってはレイズで払うチップを増やすこともできる。ゲームを続けたければ、全員同じだけのチップを払う必要がある。場に共通のカードを出すときにも同じことをしていって、最終的に勝った人がチップ総取りする。
「なるほどなあ。ポーカーか、やったことないな」
「俺は知ってる。アメリカはギャンブルが合法だし、場合によっては億の金が動くらしい。世界大会なんかもやってるらしくて、賞金が10億超えたりとか。参加費も高いみたいだけど」
「夢があると言えるのかもしれんけど、正直ちょっと怖さが勝るな」
「勝てばなんでも官軍だからね」
眼鏡の友人がうんうんとうなずく。
……当然、負ければ悲惨なんだろうなあ。
「ポーカー自体は面白そうなんだけどね」
ルールを覚えきれていないが、ただの運ゲーというわけではなさそうだ。
もちろん役を作るのだから、カードがよければいいに決まっているが、最強のカードじゃない限り、負ける可能性は必ずある。そして最強のカードを持っていても、相手が勝負に乗ってこなければ意味がない。そして、最強のカードなんてものは、そうそう来ない。
結局自分が持っているカードが相手より強ければいいのだから、相手がどんなカードを持っているか予想をしてゲームに参加することになる。もちろん個人に配られた2枚はお互い見えない。お互いどんな役を持っているかは、カードを開かなくてはわからない。自分のカードを強く見せて、相手を降ろすということもできたりする。
じゃあどうやって相手のカードを予測したり、自分のカードを強く見せるのか。それはレイズのやり方やチップの量、あとはその人のゲームのやり方をみて、予測するらしい。
面白そうだが、ちょっと難しそうだ。
「金を賭けたら犯罪だけど、ポーカー自体は別にやってもいいんじゃないか? 興味沸いたぞ。今度やろうぜ」
にこやかに笑いながら眼鏡の友人の肩をたたくもう一人の友人に、一応言う。
「ルール、難しいよ?」
「やりながら覚えればいいじゃん」
「動画とか見てもいいと思うよ。これとか」
そういって眼鏡の友人がスマホで見せたのは、ポーカーの世界大会に出た人の動画だ。
【日本人最高位】ポーカー世界大会で3500万円を獲得した伝説の瞬間。【WSOP2019】
「URL教えて。見てみる」
「俺にも。……よし、明日とりあえずやってみよう。楽しみだなあ!」
勢いというやつは重要だと思うので、異論は挟まなかった。
でも、どこでやるつもりなんだろうなあ、とは思った。


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